【第7章】業務と業務改善
7-1 組織と業務活動 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
7−1−1 企業の組織構成 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
「企業」とは、一般に営利目的を持ち、生産・販売・サービスなどの経済活動を行う組織体で。狭義には、「株式会社」や「有限会社」などの私企業を指しますが、広義には国が関与する公的な企業も含まれます。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
部門の構成 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
人事部門 |
人材の確保や部門への配置、さらには人材の育成を行う。従業員に関わる種々の業務に関係している。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
経理部門 |
企業の経営基盤となる資金面を管理する。資金調達、運用はもとより、企業の資産管理や業務評価を含める企業もある。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
営業部門 |
企業が提供する製品やサービスを直接顧客に販売する。一般に売上の回収作業も含む。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
生産部門 |
製品を製造する。企業によっては、資材部門の機能を兼ねる場合がある。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
資材部門 |
製品の製造や業務運営に必要な材料を調達する。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
研究開発部門 |
新製品の技術開発や研究などをする。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
情報システム部門 |
企業内の情報システムを開発し、運用する。システムエンジニアやプログラマ、システム運用エンジニアなどの専門スタッフが所属する。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
総務部門 |
部門間の調整や事務管理をする。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
マーケティング部門 |
市場調査を実施する。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
ライン部門とスタッフ部門 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
ライン部門 |
直接収益に関係する部門(製造、営業、販売など) |
||||||||||||||||||||||||||||||||
スタッフ部門 |
ライン部門を支援する部門(企画、調査、経理、人事、情報システムなど) |
||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
経営執行機関 |
日本の経営執行担当者は代表取締役で、会社を対外的に代表しているとともに経営の最高責任者でもある。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
アメリカの経営執行機関の分類 |
・CEO(Chief
Executive Officer)最高経営責任者といい、会社の代表として経営責任を負う立場にある人。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
企業の組織形態 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
企業は、業務を効率的に行うために、それぞれ目的に応じて組織を編成しています。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
職能別組織 |
生産・販売・経理など各職種別に、それぞれの専門機能を持った部門と、他部門を指揮する |
||||||||||||||||||||||||||||||||
事業部制組織 |
企業を製品別や顧客別、地域別に分け、それぞれが独立採算的に利益責任と業務遂行に必要な機能を持つ組織で編成されます。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
プロジェクト制組織 |
本来の組織とは別に、各種の専門的な能力を持つ人材によって臨時に編成されます。あくまでも一時的な組織なので、目的を達成した時点で解散します。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
マトリクス制組織 |
事業部制組織とプロジェクト制組織などのように2つの軸によって編成されます。作業の分担化で横のつながりがスムーズにいかないという欠点をなくす工夫として考えられたものです。この組織では、業務担当者が複数の管理者のもとで作業する形態をとるため、指揮命令で混乱が生じることがあります。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
7−1−2 企業活動の流れ |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
製造業の業務の流れ |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||
ワークフロー |
業務活動の流れのこと |
||||||||||||||||||||||||||||||||
販売業務の物の流れ |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||
書類の流れ |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
7−2 企業会計 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
シスアドが関わるシステムには、企業内における会計処理が関連してきます。そのため、シスアドは企業会計を知っておく必要があります。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
7−2−1 財務会計 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
「財務会計」とは、会社の財務状況を外部に報告するために必要な企業会計のことです。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
貸借対照表(B/S) |
ある時点における企業の財政状況を表しているものです。バランスシートとも呼ばれます。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
損益計算書(P/L) |
一定期間の経営成績を表しているものです。P/Lとも呼ばれます。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
勘定科目 |
貸借対照表や損益計算書などの財務諸表で科目にあげられている仕分上の項目のことを「勘定科目」という。勘定科目には、現金、費用、商品、買掛金、売掛金などがある。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
7−2−2 管理会計 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
損益分岐点 |
利益は、売上高から費用を引いたものです。費用には、「固定費」と「変動費」があります。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
固定費 |
設備や人件費などのように売れても売れなくても関係なく必要となる費用のことです。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
変動費 |
販売の実績に応じて必要となる経費のことです。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
在庫評価 |
在庫評価とは、在庫(棚卸資産)を財産として金額で評価することです。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
個別法 |
期末棚卸商品について、個々の取得原価にもとづいて計算する。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
先入先出法 |
先に仕入れた物から販売されたとして、期末棚卸商品については期末に最も近い仕入れから順に残っているとして計算する。(新しい原価を対象とする) |
||||||||||||||||||||||||||||||||
後入先出法 |
先入先出法とは逆に、最も近い仕入れから販売されたとして、先に仕入れたものが残っているとして計算する。(ふるい原価を対象とする) |
||||||||||||||||||||||||||||||||
平均原価法 |
仕入れた商品の平均原価にもとづいて計算する。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
7−3 業務改善 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
シスアドは、業務をシステム化するにあたり業務活動を正しく把握し、業務改善の推進を行う必要があります。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
7−3−1 業務改善の手順 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
7−3−2 業務活動のモデル化 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
業務を分析し改善するためには、現状の活動を正しく把握することが大切です。業務の中心をなるデータと処理の流れをモデル化する作業が必要です。モデル化の手法には、「データ主導型」と「機能主導型」があります。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
データ主導型 |
データの関連や流れに注目して業務を把握する手法です。代表的なものとして「E-Rモデル」と「DFD」があります。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
E-Rモデル |
エンティティ(Entity:実体)とリレーション(Relation:関係)を使ってデータの関連を図で表現する手法です。エンティティやリレーションは、いくつかの属性をもち、これをアトリビュートといいます。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||
DFD |
「DFD」とは、「データフロー」、「プロセス」、「ファイル」、「外部」の4つの要素を使って、が業務やシステムをモデル化し、業務の流れをデータの流れとして表現する手法です。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||
機能主導型 |
処理手順に注目して業務を把握する手法です。代表的なものとして、「ワークフロー分析」があります。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
7−3−3 問題発見のためのデータ収集 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
業務を分析し改善するためには、業務に関するさまざまなデータを収集する必要があります。データを収集する方法としては、「ブレーンストーミング」、「バズセッション」などがあります。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
ブレーンストーミング |
ルールに従ってグループで意見を出し合い、データの収集を行う方法です。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||
ブレーンストーミング |
ブレーン(brain:脳)とストーム(storm:嵐)を組み合わせた言葉で、日本語に訳すと、”脳に嵐をおこす”という意味。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
ゴードン法 |
ブレーンストーミングと同様の方法でデータを収集する方法に「ゴードン法」がある。参加者に本当の課題が知らされていない点がブレーンストーミングと異なっている。課題を知らせないので、ブレーンストーミングより自由な新しいアイディアや着想を幅広く出すことができる。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
バズセッション |
バズセッション(buzz session)とは、少人数のグループによる非公式な討議をして意見を収集します。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
その他のデータ収集 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
7−3−4 問題発見のためのデータ整理 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
収集したデータは、問題発見のために整理する必要があります。データ整理の手法には、「KJ法」や「決定表」などがあります。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
KJ法 |
大量のカードを利用し、収集したデータを効率よく整理するための手法です。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
決定法 |
収集したデータをもとに、条件と行動の関係を表形式で整理する手法です。
決定表の記入例では、各要素部分は次のようになります。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
7−3−5 問題発見のためのデータ分析 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
収集したデータを分析することにより業務上の問題点などを発見し、業務改善の手がかりとします。データを分析する方法としては、「確立」、「統計」などがあります。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
確立 |
収集したデータがどの程度正確なのかを判断するには、確率的な手法を使います。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
場合の数 |
ある事柄の起こりうるすべての場合を考えた数のことです。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||
順列 |
あるデータの集まりの中から任意の個数を取り出して並べた時の、並べ方の総数のことです。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||
組合せ |
あるデータの集まりの中から、任意の個数を取り出す時の、取り出し方の総数のことです。異なるn個から任意にr個とる組合せの数をnCrと表し、次式で求めることができます。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||
確率 |
全事象の場合の数に対する、ある事象の起こりうる場合の数の割合のことです。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||
統計 |
収集したデータの規則性を調べたり、先のことを予想するための手法です。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
データの代表値 |
データ全体の特性を表す値です。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||
データの散布度 |
個々のデータが平均値のまわりでどのように分布しているかの度合いを数値で表現したものです。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
7−3−6 QC7つ道具 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
「QC7つ道具」とは、業務の問題点を整理、分析することで、製品の品質を維持向上させるための統計的な手法です。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
ヒストグラム |
集計したデータの範囲をいくつかの区間に分け、区間に入るデータの数を棒グラフで表したものです。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
パレート図 |
項目別に集計したデータを数値の大きい順に並べた棒グラフと、その累計値を折れ線グラフであらわしたものです。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
ABC分析 |
パレート図を応用し、「ABC分析」をすることができる。ABC分析とは、全体の数量に対する比率によって、対象となる項目をA、B、Cの3つのグループに分け、項目の重要度を分析する手法。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
散布図 |
2つの属性値を縦軸と横軸にとって、2種類のデータ間の相関関係を表したものです。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
特性要因図 |
業務上問題となっている特性(結果)と、それに関するとみられる要因(原因)を魚の骨のような図で表したものです。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
チェックシート |
点検する項目などを表して、簡単に分析結果を確認できるように表現したものです。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||
層別 |
収集したデータや調査結果を特性ごとに分類して、表現したものです。ヒストグラムの区間分けも層別のひとつです。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
管理図 |
工程の状態を折れ線グラフで表現したものです。測定したデータをプロットしていき、限界の外側に出た場合や、分布が中心線の片側に偏る場合などから工程異常を検出するしくみになってます。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
7−3−7 新QC7つ道具 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
最近では、「QC7つ道具」の他に、「新QC7つ道具」という手法も使用されています。この手法には、「連関図法」、「系統図法」、「親和図法」、「PDPC」、「アローダイアグラム」、「マトリックス図法」、「マトリックスデータ解析法」があります。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
定性的データ |
数値で表すことが難しいデータを「定性的データ」という。新QC7つ道具は、主に定性的データの分析に用いられる。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
連関図法 |
問題の構造を解明するために、”原因−結果”または、”目的−手段”の関係を矢印で連結して表現する手法です。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
系統図法 |
問題を解決する手段を見つけるために、”目的−手段”の連鎖を階層的に表現する手法です。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
親和図法 |
データを相互の親和性によってまとめ、グループごとに表札を付け整理、分析する手法です。漠然とした問題を整理し、問題点を明確にすることができます。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
PDPC |
目的に達成するまでのプロセスを整理する手法です。この図をもとにしてプロセスの最適化を推進していきます。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
アローダイアグラム |
よりよい作業計画を作成するための手法です。作業の準備と必要な日数などを矢印で整理して表現します。日程計画法(PERT)の図としても使われます。下の図では、作業Eは作業Cと作業Dの両方が終了した時点で処理が開始できることを示しています。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
マトリックス図法 |
行と列の見出し部分に分析する要素を配置し、関連を記述することにより問題の解決策を探る手法です。
マトリックス:行列という意味 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
マトリックスデータ解析法 |
複数のマトリックスデータの相関関係を数値データで表現できる場合に、データの特性をとらえて整理する手法です。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
7−3−8 問題解決のための工程管理 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
製品の原料や品質、数量、納期などの生産資源を統合的に管理することです。工程管理の手法としては、「ガントチャート」やQC7つ道具のひとつである「アローダイアグラム」などがあります。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
ガントチャート |
作業の予定や実績を横棒で表現したものです。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
7−3−9 データの視覚的な表現 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
収集したデータを整理・分析するために、その用途に応じて視覚的にわかりやすく表現する代表的な方法として「グラフ」や「図解」があります。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||
グラフ |
数値情報などを図式化したものです。表では、特徴がなかなかつかめないデータに対しては、グラフ化することで視覚に訴えることができます。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||
図解 |
要素間の関係などを視覚的に表現できるものです。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
http://www13.plala.or.jp/takabox/7syou.html