出典:大久保貞利氏著「誰でもわかる電磁波問題」p.185〜198   測定範囲 対応周波数帯域 測定対象 安全の目安
第12章 これならわかる電磁波Q&Aより安全基準に関する内容を抜粋 磁場1 0〜100mG/m 50Hz〜100KHz 一般的な電化 電化製品:2mG以下
磁場2 0〜3mG/m 50Hz〜100KHz 製品、送電線  送電線 :1mG以下
Q.電場は安全なのですか? 電場 0〜1000V/m 50Hz〜100KHz 全ての電化製品 パソコンの場合、VDT画面から30cm
.磁場が問題なっているのは事実ですが、カナダのオンタリオ水力発電所の疫学調査では20年以上勤務の労働者が「電場強度10〜40V/m」を被曝すると白血病リスクが8〜10倍と出ました。 (0〜1KV/m) に位置で極低周波は1V/m以下
磁場の疫学調査が多いのですが電場も要注意なのです。電磁波過敏症の人で電場に反応する人も多くいます。 ラジオ、 0,01〜1mW/cu 50Hz〜3GHz 携帯電話、無線 0,2mW/cu以下
マイクロ波 電子レンジ 扉から5cmの位置 :1mW/cu以下
Q.電力会社は50ガウスまで安全だとWHOの資料を使って言ってますが本当ですか?   扉から1,8mの位置:0.2mW/cu以下
.WHO(世界保健機関)が1987年に出した「環境保健基準69」の中で「50ガウス以下の50/60ヘルツ磁場では有害な生物学的影響は認められていない」とあるのを使って、電力会社は50ガウス以下は安全といっています。しかしWHOの国際EMFプロジェクトの共同責任者マイケル・レパショリーは「50ガウスはWHOの正式な基準ではない」と言っています。いま、2005年に向けてWHOは新しい環境保健基準づくりに着手していますが、その過程でWHOのIARC(国際がん研究機関)が2001年6月27日に「極低周波磁場の発がんリスク2B(ヒトに対して発がん性の可能性あり=possible)」に分類することを全会一致で決めたのです。その根拠は「4mGで小児白血病リスク2倍」という疫学調査から引き出しました。4mGは50ガウスの12500分の1です。もう50ガウスを持ち出す時代ではないのです。
Q.電力会社は「5ガウス」とか「1ガウス」もよく説明会で使いますが。
.5ガウスは同じ1987年の「環境保健基準69」の中でWHOが「5ガウス以下ではいかなる生物学的影響も認められない」と書いてあるのを電力会社が「安全の根拠」として使っているのです。これも50ガウス同様「正式な基準ではない」のです。1ガウスはICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)が決めたガイドラインです。いずれにしても電磁波の熱作用しか念頭にない頃の数値です。その後研究がすすんで非熱作用である「4mG説」が出ているのです。
Q.総務省が「1mW/cm2」を法規制基準としていますが、安全とする根拠はなんですか。
.総務省は2000年10月から電波法施行規則を一部改正し、基準値を設けましたが周波数毎に基準値は異なります。1.5GHz以上は電力密度(総務省は電力束密度といいます)「1mW/cm2」 です。300MHz〜1.5GHzの領域の電力密度は「周波数/1500」の計算式で出され、800MHzの携帯電話の電力密度基準は「0.53mW/cm2」です。総務省は電磁波の熱作用を安全の根拠にしています。
Q.日本の規制基準はあるのですか?
.高周波については、電磁波防護基準として「1.5GHzで1mW/cm2」 ということはすでに述べましたが、極低周波については磁場規制は全くありません。スイスは2000年2月から「10mG」基準を作っていますが日本ではありません。電場規制については経済産業省が「3KV/m」の基準を作っています。商用周波数は経産省の管轄です。 「3KV/m」というのは「やや髪が逆立つ程度」というのですからひどい国です。
Q.電波干渉について教えてください。
.電波干渉は国も認めています。下図のように乱・雑電磁波障害の例はいくつもあります。とくに携帯電話は電磁波が強く医療機器に悪影響を与えます。最近注目されているのは図書館やビデオショップにある盗難防止装置のセンサー装置です。ゲートを老人がゆっくり通ったら心臓ペースメーカーがリセット状態になりました。盗難防止装置は機器への干渉だけでなく人体への影響も問題です。外国では子供は背が低いので頭部にセンサーが命中しますし、近くで働いている従業員の被曝量も相当なものです。米ユタ大学のオム・ガンジー博士は盗難防止装置からICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)の基準値「60ミリアンペア/cm2」を超える量が出ていると警告しています。
Q.どの位なら安全なのですか?
.『クロス・カレント』の著者ロバート・ベッカー博士は「極低周波で0.1mG説」をとっています。過敏症の人は「0.3mGから反応する」と言ってますから0.1mGは妥当な線です。高周波については、ワルウィック大学のハイランド教授が「理想的な電力密度0.001μW/cm2以下でなければならない」と言ってます。要は過敏症の人が安心して暮らせることが必須条件です。
Q.どういう対策をとるべきですか?
.国が大規模な健康調査をすることと、当面、極低周波については「4mG以上」の子供のいる居住環境の改善と、高周波についてはザルツブルグ基準の「0.1μW/cm2」 以上になる基地局等の建設の凍結です。とくに学校、幼稚園、保育園、住宅、病院の近くに電磁波発生源としての送電線、変電所、基地局の建設を規制すべきです。
建設にあたっての住民同意の確率も大切です。個人においても身のまわりの電気製品や電気配線にもっと注意を払うべきです。基本はあくまで「発生源から離れること」と「被曝時間を減らす」 ことです。