群 | 特徴 | 類型 | 特徴 | 診断基準 | 事例 | 鑑別 |
A 自閉的、妄想 | 分裂病気質遺伝、自閉、妄想、奇妙、風変わり、対人関係ストレスの影響を受け易い | 妄想性 | 思考:猜疑心(油断無く用心深い)、疑う(隠れた動機を探る)、告発する・反撃する・論争好き・好争、敏感性、ねたむ、恨み続ける、信念:動機が疑わしい、警戒、不信、頑固、自己感:正義、無垢で高潔、自負心、脆い、他者感:妨害的、悪意のある、差別的、悪用の動機・だまされた・裏切られた、怒りの爆発 | 4項目以上: 1.充分な根拠が無いのに、他人が自分を利用したり、危害を加えたり、騙していると疑う。 2.友達の誠実さ、親切を不当に疑い、そのことに心を奪われる。 3.何か情報を漏らすと自分に不利に利用されると恐れ、他人に秘密を打ち上げることが出来ない。 4.悪意のない言葉や出来事の中に、自分をけなしたり、脅かすようなことがあると深読みする。 5.侮辱されたり、傷つけられたり、軽蔑されたことを恨み続ける。 6.自分の性格や評判に対し過敏に反応し、勝手に人から不当に攻撃されていると感じたり、怒ったり、逆襲したりする。 7.根拠がないのに恋人や配偶者が「浮気しているのではないか」と詮索する。 |
主訴 会社でうまくいかない。 26才、男。一流企業に入社、仕事が上手くゆかずイライラし、出世が遅れている原因を「自分が地方の私立大出身だから上司が差別した」と思い、「同じ仕事を与えられたら、自分は彼ら以上の実力を発揮できる」と信じている。才能を発揮できないのは、周囲の人が邪魔をするからだと考える。いつもそのことばかりを考え、激怒したり、落ち込む。周囲と打ち解けず、気難しい。他人の欠点を批判することが多い。自分が非難されると激怒する。 |
|
分裂病質 | 自閉的、孤独、感情が無い、異性を含めた「人」に興味がなく、そのため社会から孤立し、対人接触を好まない。感情を表に出さない、何事に対しても興味がない、関心がない。分裂病の症状と似る。 | 4項目以上: 1.自分が家族の一員であったり、誰かと親密な関係になりたいと思わないし、楽しく感じない。 2.ほとんどいつも孤立した行動を選ぶ。 3.他人と性体験を持つことに興味があったとしても、少ししかない。 4.喜びを感じられるような活動があったとしても、少ししかない。 5.親兄弟以外に親しい友人、信頼できる友人がいない。 6.他人が褒めることや、批判に無関心です。 7.情緒的な冷たさ、よそよそしさ、感情の起伏がない。 |
主訴 本人には特になし。家族が心配して。 22才、男。高校で登校拒否となり、中退となる。家で過ごす。友人は無く、「独りでいるのが楽」と言う。22才まで、生活様式は相変わらず、独りでビデオを見たり、音楽を聴いていることが多い。両親や姉が心配して注意すると、「別にいいだろう」と言う。父親が病院を受診させる。受診目的の質問に対しては、「父親が行けと言うから来た」と語る。印象は物静かで控えめな青年。変わった行動や、思考過程に障害はなく、幻覚や妄想も見られない。自分の世界に対して違和感は持っておらず、変化を求めていない様子である。 |
分裂病質 分裂病型 境界性 回避性 |
||
分裂病型 | 被害妄想、迷信、会話の内容が乏しくずれる、細かいことにこだわる、疑い深い、感情が乏しい、奇妙・風変わり、友人無し・孤独、社会に妄想的不安、仕事が長続きしない、話に矛盾はないが奇妙な感覚、住所が不定、社会に対する恐怖から孤独を求め社会から孤立、不安(自信が無い為でなく被害妄想的)、結婚しても表面的な関係しか持てず離婚する、対人関係を避け能力以下の低い職業に就く、認知様式の「ずれ」:関係念慮・離人症的幻想、非現実な体験を語る、幻聴や幻視は無い、感情冷たく疎遠で感情の起伏は乏しい、ユーモアをわかってくれず、疑い深く、不信感を持つ、会話に加わることができず、軽蔑されることに過敏、勝手に軽蔑されたと勘違いする、自己像は他人とは波長が合わない、自分がないという感覚を持つ、空虚感、疎外感、離人症的、世界観は人生は奇妙で予測がつかなく、他人は独特の不思議な考え方を持っていると感じる、他人の考えに興味が引かれても、常に疑ってかかる、分裂病と関係が深くストレスが原因で25%程度が分裂病に移行 |
5項目以上: 1.関係念慮。 2.迷信深かったり、テレパシー、第六感を信じている。 3.実際には存在しないはずの力や人物の存在を信じる。 4.考えや会話が奇妙である。(会話の内容が乏しかったり、ずれてたり、細かいことにこだわったり) 5.疑い深く、妄想じみた考えを持っている。 6.感情が不適切で乏しい。身振りそぶりが滅多にない。 7.外観や行動が奇妙で、風変わりである。 8.親しい友人がいない。家族以外に信じられる人がいない。 9.社会に対して過剰な不安をいつも持っている。それは妄想的な不安でもある。 |
主訴 対人関係の難しさ、苦痛、不安、自殺企図、関係念慮。 29才、女。高校2年時に不登校になり、それ以降自宅に閉じこもった生活を送る。家族の間でも安定した関係を保てない。例えば、父親が自分に対して怒っていると反発し、弟と話をするのが怖いから避けたり、母親が自分を理解してくれないと激しく非難したりする。家族ともしゃべれず、孤独で寂しく、死にたいと訴えるようになり来院。他人は患者に脅威を与えるもので、他人に対しては猜疑心の塊である。隣の家の人が悪口を言っているという関係念慮が出てくることもあるが、感情が安定しているときは消失する。患者にとって他人は理解の及ばない存在であり、不安をあおり立てる存在である。 |
分裂病質 分裂病型 境界性 回避性 |
||
B 激情 | 感情的混乱、演劇的、情緒的、移り気、ストレスに弱い | 反社会性 | 犯罪者に多い、良心の呵責を感じることなく冷静に凶悪犯罪を繰り返す・罪悪感欠如、人の顔色をうかがいうそやだます・魅力的、不安やうつ気分は無い、人を愛せない、人の気持ちが分からない、優しくない、サイコパス(犯罪を繰り返す人・快楽犯罪者、反社会性人格障害)、コミュニケーションが奇妙で「ずれている」感じ、しょっちゅう話題を変えたりおかしな脇道へそれたり、いきなり関連のない語句や文章を口にしたり、表情のわざとらしさや笑っていても「目が笑っていない」感じ、落ち着きがなく暖かみがない雰囲気、なんとなく奇妙でずれた行動 |
3項目以上で、18歳以上であり、行為障害が15歳以前: 1.法を守ると言うことができない。逮捕の原因となるような行動を繰り返す。 2.人をだます傾向がある。自分の利益や快楽のために嘘を使うことが多いです。 3.行動に衝動性が強く、自分の将来の計画が立てられない。 4.怒りっぽく、攻撃性である。 5.向こう見ずで、自分や他人の安全を考えない。 6.一貫して無責任である。仕事を続けられなかったり、借金を返済しなかったりします。 7.良心の呵責を感じない。人を傷つけても、いじめても、ものを盗んでも反省しません。そのため、繰り返します。 |
主訴 反復する犯罪歴。 22才、男。父親がアルコール依存症であり、たびたび言い争ったり激しいケンカを繰り返してきた。小さな頃より、すぐにかんしゃくを起こしたり、幼い兄弟に暴力を振るうことが多かった。保育園時代も乱暴な行動が問題となり、周囲に迷惑をかけていた。小学校にはいると、行動に落ち着きがなく万引き、窃盗などで児童相談所の世話になることもあった。中学にはいるとさらにエスカレートしていき、恐喝、万引き、窃盗を繰り返していた。一見するとやさしそうに見えるが、目つきが鋭く用心深いような態度をとる。その後、一年か二年おきに補導や逮捕され少年院に入る。 |
|
境界性 | 「神経症と分裂病との境界」、精神分裂病といってしまうには症状が足りずかといって神経症でもない状態。 非常に衝動的で感情の起伏が激しく対人関係が不安定、感情を抑制できず暴力的・自殺企図、 1.見捨てられ不安:母親から乳離れできず「見捨てられる」不安から良い子に育つ、母親の期待に応えようと努力する。 2.不安定で激しい対人関係:対人関係の変化が大きい。過剰な理想化は少ない。表面的な対人関係と退行した対人関係の間を揺れ動く。意見の衝突を恐れて自分をごまかしたり嘘をつく。 3.同一性障害:本人はその矛盾は分からずやりたいことをやっている、他人には矛盾がわかるので不自然に感じる。 4.衝動性:自己破壊的な行動。見捨てられ不安や感情障害と関連して起こる。無気力や寂しさを紛らわす為の飲酒、無謀な運転、過食。 5.自殺の脅し、そぶり、行動、自傷行為。 6.感情が変わりやすく、慢性的に空しい。抑欝と怒りが混在。憂鬱で不快な気分と何をやっても不満足。 7.重篤な解離症状:幼少期の虐待と関連。 |
5項目以上: 1.見捨てられる不安が強いために愛情をつなぎとめるために必死に努力をする。 2.他人への評価が理想化したり、こき下ろしたりといった両極端で不安定なものである。 3.同一性が混乱していて、自己像がはっきりしない。 4.衝動的で、ケンカ、過食、リストカット、衝動買い、アルコール、薬物、衝動的な性行為などが見られる。 5.自殺行為、自傷行為などをやろうとしたり、脅したりする。 6.感情が不安定。 7.いつも虚無感を覚える。 8.場に合わない激しい怒りをもち、コントロールできない。そのため、暴力に走ったりする。 9.ストレスがあると妄想的な考えや解離症状が出ることがある。 |
主訴 家庭内暴力、自殺企図。 22才、女。小さな頃から母親の言うことはなんでもよく聞く「いい子」で育った。高校も有名な進学校に進むと、真面目によく勉強をした。クラスでも人気者で、バスケット部ではキャプテンをしていた。次第に勉強についていけなくなってくると、学校に行くことが面白くないともらすこともあった。休日は何もせず、一日中寝込むことも多かった。この頃から、家族に隠れてタバコやアルコールが多くなった。受験に失敗すると、自分の生活を極限まで追い込むような生活を送るようになった。ちょっとのことで、家庭内で暴力を振るうことも増えてきた。一郎の末、大学に入るも失恋をきっかけにいかなくなった。「死んでやる!」と訴えることが多くなったため、家族に連れられてやってきた。 |
分裂病質 分裂病型 境界性 回避性 |
||
演技性 | 「ヒステリー性格」常に周りの人の関心を集め、自分が中心でないと気がすまない(主役)。魅力的であるが底が浅い、自分の思い通りにいかないと感情を爆発させる。実際よりもよく見せたいという願望が強い。自己中心的で、虚栄心が強く、わがままで、子供っぽい。本人に「治そう」という気がないと治癒しない。アルコール依存症やうつ病で病院を訪れることが多い。 1.自己顕示性:自分を実際よりもよく見せたい。 2.情緒不安定性:他人を振り回すように思われるが、実態がなく不完全で危うく不安に満ちる。支配的に振る舞うことでかろうじて安定化を図っている。 3.被暗示性:情緒不安定と同じく、他人や環境に合わせることで、安定化を図る。 4.魅惑性:わざとらしく表面的で挑発的な態度は罪悪感を抱えていることが多く、患者を魅惑的な行動に走らせる一因となる。 |
5項目以上: 1.自分が注目の的になっていないと楽しくない。 2.他人との関係は、不適切に性的で魅惑的・挑発的な態度をとる。 3.あさはかで感情を表に出す。 4.自分への関心を引くために身体的外見を利用する。 5.感情表現がオーバーなのだが、内容がついてこない。 6.芝居がかった態度や誇張して表現する。 7.他人や環境の影響を受けやすい。 8.対人関係を実際以上に親密なものとする。 |
主訴 感情の爆発。 20才、女。3姉妹の次女、思春期は活発で、まわりからよくかわいがられて育った。中学入学から反抗的になり、目立つような行動をよく起こしていた。中学3年時失恋をきっかけに、自殺未遂。その後、過食嘔吐が激しくなった。静養加療目的で入院となった。入院中、子供っぽく甘えた様子はあったが、服装は派手で同室患者の中心的な存在となった。しかし、わがままなところを指摘されたりすると、急に不機嫌になり、ものにあたった。「私をふるなんて許せない、めちゃくちゃにしてやる」などと訴えることもあった。「姉が成績がよく、母親に褒められるのが悔しかった」「妹にはカッコイイ彼がいるのが、くやしい」などと言う。 |
ヒステリー:「特別な心理的な原因によって起きる身体の変化で、手足麻痺、感覚消失、夢遊状態、意識混濁、記憶喪失が出現」し、症状が身体に出ることで防御機制となる。 ヒステリー性格(演技性人格障害):「感情が昂揚しやすいこと、暗示性に富む、大げさな芝居がかった行動、性的関心を示すこと」。 |
||
自己愛性 | Narcissistic
Personality Disorder、ナルシスト。母親の過保護と父親の不在が原因。その為自分は特別な人間だと感じ、非難されることに耐えらず、周囲の人間は自分を敬うのが当然と感じ、他人への思いやりに欠ける、究極の自己中心的な人間で、対人関係が不良。「独特で」「完璧な」「才能がある」と自分を表現し、「普通の人には理解できない」と感じている。 |
5項目以上: 1.自分は特別重要な人間だと思っている。 2.限りない成功、権力、才能、美しさにとらわれていて何でもできる気になっている。 3.自分が特別であり、独特であり、一部の地位の高い人たちにしか理解されないものだと信じている。 4.過剰な賞賛を要求する。 5.特権意識を持っている。自分は当然優遇されるものだと信じている。 6.自分の目的を達成するために相手を不当に利用する。 7.他人の気持ちや欲求を理解しようとせず、気づこうともしない。 8.他人に嫉妬をする。逆に他人が自分をねたんでいると思い込んでいる。 9.尊大で傲慢な態度、行動をとる。 |
主訴 会社で孤立。アウトプット不良。 25才、男。一人っ子。両親高齢出産の子で、幼い頃から特にかわいがられて育ち、特に不自由することはなかった。一流大学を卒業し、会社に就職するも対人関係がうまくいかなくなってきた。「自分にはすごい能力がある」と信じまわりにそれを強要したりしたために、さらにまわりから疎まれる存在となっていった。今の会社に評価されていないのは、自分のせいでなく、自分の能力があまりにも優れているために周囲の人にはわからないと思っている。 |
|||
(1)無自覚タイプ:他人の反応に無頓着、傲慢で攻撃的、自己陶酔の塊、注目の的であろうとする、他人に傷つけられる感情を受け付けない。自己中心の塊。多くは、母親の過保護による愛情を注がれ過ぎた為。「特別な子供」扱いすることで、「私は特別な人間なんだ」と思い込む。厚顔無恥、誇大、顕示欲。日本に多い。) (2)過剰警戒タイプ:他人の反応にひどく敏感、押さえ気味、恥ずかしがり屋、目立つのを避ける、注目の的になることを避ける、他人の話に軽蔑や批判の証拠を探る、簡単に傷つけられやすい。小さな頃から親の愛情を受けなかったため、褒められずに育ったために、「自分は本当はもっとすごいんだ」と空想して、傷付いた自尊心を取り戻そうとする。傷付きやすさや、過敏性が強く密かな自己愛を持っている。アメリカで多い。 |
||||||
1.あからさまな傲慢さ:尊大で横柄な、また大げさで相手に軽蔑的な態度をとる。社会生活での慣習や規則をバカにし、自分には愚かで的はずれな規則だとあざ笑う。自分の高潔さを他人が見のがすことには怒り出すが、他人のそういうことに対しては全くの無関心。
2.対人関係での搾取:当然の権利だと考えている。常に相手に対して自分を特別扱いするよう求めます。恥ずかし気もなく、自分が目立つためや願いを叶えるために他人を利用するのは当然と考える。 3.誇大性:えっ?と思うようなの空想をしたり、成功や美、愛に関する未熟で自己満足的な想像に浸りがち。客観的事実はどうでもよく、事実を勝手に曲げ、自分に対する錯覚を必要とあらば嘘をつく。 4.自己像の賞賛:自分は価値があり特別で称賛を受けるに値する人間だと信じ、誇大的で自信に満ちた行動をとる。しかし、それに見合うような成果を収めることはない。他人にはわがままで、軽率で、横着な人間だと思われているが、自分の価値を信じている。 5.他人へのわざとらしさ:過去の対人関係は良い記憶が捻じ曲げられて変えられる。受け入れることができない過去の出来事や苦しみは簡単に作り替えられる。 6.合理化のメカニズム:自己中心的で周囲に対して思いやりに欠けた行動を正当化する為に最もしい理由を付けるが、それは欺瞞的で浅はか。 7.偽り:みえみえの嘘をつく。失敗をしてもすぐに埋め合わされプライドはすぐに復活。 8.無頓着:冷徹で無感動、軽快で楽天的、自己愛的な自信が揺さぶられると怒りや恥の感情や空虚感が表に出る。 |
||||||
C 不安 | 不安、恐怖感、周囲の評価・視線がストレスとなる | 回避性 | 「引きこもり」不登校や出社拒否などの人の約半分。最も不安や恐怖感が強い。他人からの拒絶、批判を恐れ、恥をかくことに非常に敏感で、そうした危険があれば他人と関わろうとすることを止める。失敗を恐れるあまり、新しいものにチャレンジすることもなく、仕事は責任の軽いものばかり選びます。「自分が人に受け入れられるかどうか」に対して非常に過敏。日本人の他者中心的で他人の感情を損なわない、自己を主張しない控えめな文化に根ざし、日本人には違和感が少ないが、自己主張の強いアメリカでは無能力と見なされ社会的な評価が低い。 最近は、少子化、父親不在、母子結合、過保護などの結果:大きくなった子供、自分で判断することの能力も乏しければ非常に傷付きやすいもの、自分を傷つけない、暖かい場所にしか行こうとしない、社会的な引きこもり、対人関係の弱さとして問題となっている。 |
4項目以上: 1.他人からの批判、拒否、拒絶をあまりにも恐れるために、仕事上大切な人と会わなければならないような状況を避ける。 2.好かれていると確信できなければ、人と関係を持ちたいと思わない。 3.恥をかかされること、バカにされることを恐れるために、親密な間柄でも遠慮がちである。 4.社会的状況の中では、批判されはしないだろうか、拒絶されはしないだろうかとこころを奪われる。 5.自分が人とうまくつきあえないと感じるため、新しい人間関係を築けない。 6.自分は社会的に不適切な人間で、長所がなく、人より劣っていると思っている。 7.恥ずかしいことになるかも知れないと言う理由で、何かにチャレンジしたり、新しいことをはじめたりすることに異常なほど消極的である。 |
主訴 引きこもり、転職の反復。 28才、男。小学校時代から成績も優秀でスポーツも万能であり、クラスの人気者であった。ただ、両親から褒められたことはなかった。あることをきっかけにまわりのみんなから批判されたように感じ、周囲になじめなくなった。中学生の頃、ある失言をきっかけに女子生徒に嫌われはじめる。この頃より、にらむような目つきになり、周囲の反応も変になった。 大学に進学するも、友達もできなかった。その理由は、みんなが自分を嫌っているような気がして、おびえてしまうかららしい。まわりになじめず、次第に学校からも遠ざかり、中退となった。その後色々なアルバイトをやるが、はじめのうちは緊張感で仕事が続けられるが、慣れてくると惰性的に過ごすようになり、突然に仕事をやめることを繰り返した。仕事から遠ざかると、引きこもりがちな生活になるという。 |
分裂病質 分裂病型 境界性 回避性 |
中核的特徴は「自分自身の失敗や周囲からの拒絶、否定的評価を避けようとすること」で、その根底にあるものは「低い自尊心と低い自己評価」です。他人には受け入れてもらいたい気持はあるが、自分には他人に何かをしてもらえるだけの価値がないと感じているため、その欲求を他人に伝えることができない。拒否されることに対して、極度に敏感で傷付きやすく、嫌われたりバカにされたりするのを恐れ、対人場面や社会生活を避けるようになる。その結果、社会生活から引きこもり、責任の軽い仕事ばかりを選ぶ。 社会的引きこもりをする一方で他人に受け入れられたい気持や接触を求める。引きこもりの他には、不安、抑うつ、対人恐怖などがある。また、暴力行為や衝動的な活動、奇妙な声で叫ぶ。 一般に若ければ若いほど治りやすい。親、とくに母親の過保護が原因となることが多く、母子間の結びつきを弱める必要がある。つまり、親は子離れをし、子供は親の元から独立することである。 |
||||||
依存性 | 「自分にかまって欲しい過剰な欲求と、それを維持するための服従的な行動」「甘えの強い性格」。甘えが強く、大切なことも自分で決められず他人の判断に任せる。並はずれて従順で、非常に受け身的、世話をやいてくれる人がいなければ何もできない。いつもまわりから元気づけや励ましが必要。独立を避けるために、自分自身の欲求でさえも、他人の欲求に合わせる。自分の責任を他人に押しつけるので、いざ1人になると非常に不安や抑うつにかられる。 女性、末っ子。過度に干渉的な母親、父親が原因で、「世の中は危険がいっぱい」ということを子供に刷り込み、子供が少しでも自立しようとすると親は子供を非難し、忠実だとひどく溺愛し、自立とは親や社会から見放されることだと刷り込まれる為に発症。 責任ある地位を避け、受け身になることを選ぶ。責任ある立場に強いられると不安になるばかりではなく、自分の無力さを訴え、サポートが必要だと訴える。少しでも1人に取り残されると見捨てられたとおびえる。自分自身のために仕事を頑張ってやるよりも、誰かのためになら同じ仕事でもうまくいきやすいです。それは、食事の準備であったり、子供の世話であったりする。これらの行動は、依存する相手に「貸し」をつくり、いつまでもそばにいたいための行動でもある。例え、相手が浮気ばっかりしたり暴力を振るったりしても、依存する対象を失うのが怖いため、しがみついても離れない。 その他には、自分の訴えをいかにもドラマチックに大げさにいう傾向がある。それは注目して欲しいという気持ちの表れ、見捨てないでという気持ちの表れである。もし、相手にされなければ、怒りを爆発させたりと行ったような短絡的な行動にでる。病院に受診する目的は、まわりから注目されたり、心配されたり世話を受けることで愛着をつなぎとめる為である。 |
5項目以上: 1.普段のことを決めるにも、他人からの執拗なまでのアドバイスがないとダメである。 2.自分の生活でほとんどの領域で他人に責任をとってもらわないといけない。 3.嫌われたり避けられたりするのが怖いため、他人の意見に反対することができない。 4.自分自身から何かを計画したりやったりすることができない。 5.他人からの愛情をえるために嫌なことまで自分から進んでやる。 6.自分自身では何もできないと思っているため、ちょっとでも1人になると不安になる。 7.親密な関係が途切れたとき、自分をかまってくれる相手を必死に捜す。 8.自分が世話をされず、見捨てられるのではないかと言う恐怖に異常におびえている。 |
主訴 昇進うつ状態。 28才、女。会社で異動に伴い責任のある立場になったことで不安が増強したために来院。4人兄弟の末っ子で、高校に進学してからは、成績の競争をためらうようになった。同性の友達関係に堅苦しさを感じるようになり、まわりからは非難されていると感じていた。大学に進学するも、まったく目立たず、人といっしょに騒いだりすることもなかった。自分から何かをしようということはなく、結婚後は夫の欲求を優先的に満たすような行動をしていた。人に頼っていないと何もできない、安心できないと言う。 |
境界性人格障害: 共通:見捨てられるという恐怖と大切な相手にしがみつく。 相手が自分から遠ざかっていくことに対しては、境界性では衝動的、自己破壊的な外への反応。 一方、依存性では声を上げて泣くなど内へ内へ入る。 |
||
演技性人格障害: 演技性:操作的に依存する。 依存性:愛着している対象と長い間関係を保つ。 |
||||||
回避性人格障害: 依存性:見捨てられること、嫌われることに対する恐怖が大きい。 回避性:新しいことにチャレンジしたり引っ込み思案。 |
||||||
強迫性 | 「秩序、ルール、完全主義などにとらわれすぎて、柔軟性や効率性がない」。強迫性格の特徴は几帳面、倹約家、わがまま。具体的にあげていきますと、人に仕事を任せられない。「硬さと頑固さ」は、ひとつだけの「正しいやり方」や「物事の原則」を主張し、他人の視点や考えに妥協することを拒む。もしも、そういったように自分の思ったようにいかなかったり、 完全にできなかったりしたら、抑うつ状態に陥りやすい。そして、頑固で柔軟性に欠けているので、ひとつのことにこだわってしまうのです。 |
4項目以上: 1.何がなんだか分からないくらいに小さなこと、規則、構成、予定表などにこだわる。 2.必要以上に完璧主義にこだわりすぎて、達成できないことがある。 3.娯楽や友人関係を犠牲にしてまで仕事にのめり込む。 4.ひとつの道徳、倫理、価値観にとらわれすぎて、融通が利かない。 5.とくに思い出があるわけでもないのに使い古したモノや価値のないものを捨てることができない。 6.他人が自分のやり方に従わない限り、仕事を任せることができない。 7.自分のためにも他人のためにもお金に対してケチである。お金は将来の何時かに備えて蓄えておかなければならない。 8.頑固である。 |
主訴 几帳面。 55才、男。公務員。仕事でも家庭でも自分の思い通りにならないとよく口論になり、ときには暴力沙汰になることもあった。普段から生活のスケジュールが分単位で決められたような細かい生活をしている。家族にはお箸の持ち方から、食べる順番、お風呂に入る順番など事細かに決め、それに従わないときは、激怒する。娘が予定した帰宅時間を過ぎようものなら、それは一大事であり、大騒ぎになる。家計の管理も自分で行っており、1円でも帳尻が合わないと大変なことになる。あまりにも几帳面すぎて耐えられないため、奥さんが相談にやってきた。 |
神経症の強迫性障害:「分かっちゃいるけど、やめられない」。 強迫性人格障害:うつ病と関連。 |