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「総括安全衛生管理者」「安全管理者」「衛生管理者」「産業医」のあらまし
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◎労働安全衛生法では、事業場を一つの適用単位として、各事業場の業種、規模等に応じて、総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者及び産業医の選任を義務づけています。
◎総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者及び産業医の選任は、その選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、遅滞なく所轄の労働基準監督署へ報告する必要があります。
総括安全衛生管理者
[労働安全衛生法第10条(労安全衛生法施行令第2条、労働安全衛生規則第2条等)]
労働安全衛生法第10条では、一定の規模以上の事業場について、事業を実質的に統括管理する者を「統括安全衛生管理者」として選任し、その者に安全管理者、衛生管理者を指揮させるとともに、労働者の危険または健康障害を防止するための措置等の業務を統括管理させることとなっています。
総括安全衛生管理者を選任しなければならない事業場は、次のとおりです。
業 種
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事業場の規模
(常時使用する労働者数)
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林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業
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100人以上
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製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業
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300人以上
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その他の業種
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1,000人以上
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当該事業場において、その事業の実施を実質的統括管理する権限及び責任を有する者(工場長など)
安全管理者、衛生管理者などに指揮するとともに、次の業務を統括管理することとされています。
ア
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労働者の危険または健康障害を防止するための措置に関すること
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イ
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労働者の安全または衛生のための教育の実施に関すること
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ウ
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健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること
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エ
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労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること
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オ
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その他労働災害を防止するため必要な業務
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安全管理者
[労働安全衛生法第11条(労働安全衛生法施行令第3条、労働安全衛生規則第4条等]
労働安全衛生法第11条では、一定の業種及び規模の事業場ごとに「安全管理者」を選任し、その者に安全衛生業務のうち、安全に係る技術的事項を管理させることとなっています。
安全管理者を選任しなければならない事業場は、次のとおりです。
業 種
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事業場の規模(常時使用する労働者数)
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林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業
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50人以上
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また、次に該当する事業場にあっては、安全管理者のうち1人を専任を安全管理者とすることとなっています。
業 種
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事業場の規模(常時使用する労働者数)
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建設業、有機化学鉱業製品製造業、石油製品製造業
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300人
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無機化学工業製品製造業、化学肥料製造業、道路貨物運送業、港湾運送業
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500人
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紙・パルプ製造業、鉄鋼業、造船業
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1,000人
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上記以外の業種
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2,000人
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ア
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大学、高等専門学校における理科系統の正規の課程を修めて卒業後3年以上、または高等学校における理科系統の正規の学科を修めて卒業後5年以上、産業安全の実務に従事した経験を有する者
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イ
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労働安全コンサルタント
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ウ
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その他労働大臣の定める者(理科系統以外の大学を卒業後5年以上の産業安全の実務経験者など)
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4 安全管理者の職務
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安全管理者は、主に次の業務を行うことになっています。
ア
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建設物、設備、作業場所または作業方法に危険がある場合における応急措置または適当な防止の措置
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イ
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安全装置、保護具その他危険防止のための設備・器具の定期的点検
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ウ
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作業の安全についての教育及び訓練
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エ
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発生した災害原因の調査及び対策の検討
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オ
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消防及び避難の訓練
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カ
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作業主任者その他安全に関する補助者の監督
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キ
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安全に関する資料の作成、収集及び重要事項の記録
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など。
衛生管理者
[労働安全衛生法第12条(労働安全衛生法施行令第4条、労働安全衛生規則第7条)]
労働安全衛生法第12条では、一定の規模及び業種の区分に応じ「衛生管理者」を選任し、その者に安全衛生業務のうち、衛生に係る技術的事項を管理させることとなっています。
常時50人以上の労働者を使用するすべての事業場で選任することとなっています。
ただし、事業場の規模ごとに選任しなければならない衛生管理者の数は、次のとおりです。
事業場の規模(常時使用する労働者数)
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衛生管理者の数
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50人〜200人
201人〜500人
501人〜1,000人
1,001人〜2,000人
2,001人〜3,000人
3,001人以上
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1人
2人
3人
4人
5人
6人
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また、次に該当する事業場にあっては、衛生管理者のうち1人を専任の衛生管理者とすることとなっています。
イ
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業種にかかわらず常時1,000人を超える労働者を使用する事業場
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ロ
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常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働または一定の有害な業務に常時30人以上の労働者を従事させるもの
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なお、常時500人を超える労働者を使用する事業場で、エックス線等の有害放射線にさらされる業務や鉛等の有害物を発散する場所における業務などに常時30人以上の労働者を従事させる場合は、衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任することとなっています。
事業場の業種ごとに選任しなければならない免許等保有者は、次のとおりです。
業 種
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免許等保有者
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農林水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業
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第一種衛生管理者免許もしくは衛生工学衛生管理者免許を有する者または医師、歯科医師、労働衛生コンサルタントなど
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その他の業種
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第一種衛生管理者免許、第二種衛生管理者免許もしくは衛生工学衛生管理者免許を有する者または医師、歯科医師、労働衛生コンサルタントなど
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※免許を受けることができる者
○衛生管理者(第一種・第二種)
・衛生管理者免許試験(第一種・第二種)に合格した者
・保健師、薬剤師など
○衛生工学衛生管理者
・大学または高等専門学校において、工学または理学に関する課程を修めて卒業した者等で、一定の講習を修了した者など
(1)衛生管理者の職務
ア
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健康に異常のある者の発見及び措置
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イ
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作業環境の衛生上の調査
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ウ
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作業条件、施設等の衛生上の改善
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エ
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労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備
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オ
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衛生教育、健康相談その他労働者の健康保持に必要な事項
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カ
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労働者の負傷及び疾病、それによる死亡、欠勤及び移動に関する統計の作成
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キ
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衛生日誌の記載等職務上の記録の整備
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など。
(2)定期巡視
少なくとも毎週1回作業場を巡視し、設備、作業方法または衛生状態に有害のおそれがあるときに、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません。
産業医
[労働安全衛生法第13条(労働安全衛生法施行令第5条、労働安全衛生規則第13条等)]
労働安全衛生法第13条では、一定規模以上の事業場について、一定の医師のうちから「産業医」を選任し、専門家として労働者の健康管理等に当たらせることとなっています。
常時50人以上の労働者を使用するすべての事業場で選任することとなっています。
ただし、常時3,000人を超える労働者を使用する事業場では、2人以上の産業医を選任することとなっています。
なお、次に該当する事業場にあっては、専属の産業医を選任することとなっています。
ア
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常時1,000人以上の労働者を使用する事業場
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イ
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一定の有害な業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場
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医師であって、次のいずれかの要件を備えた者
ア
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厚生労働大臣の定める研修(日本医師会の産業医学基礎研修、産業医科大学の産業医学基本講座)の修了者
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イ
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労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験区分が保健衛生であるもの
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ウ
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大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、助教授または常勤講師の経験のある者
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エ
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平成10年9月末時点において、産業医としての経験が3年以上である者(経過措置)
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(1)産業医は、主に次の事項を行うこととされています。
ア
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健康診断の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること
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イ
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作業環境の維持管理に関すること
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ウ
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作業の管理に関すること
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エ
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労働者の健康管理に関すること
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オ
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健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること
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カ
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衛生教育に関すること
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キ
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労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること
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(2)勧告等
労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができます。
また、労働者の健康障害の防止に関して、総括安全衛生管理者に対する勧告または衛生管理者に対する指導、助言をすることができます。
(3)定期巡視
少なくとも毎月1回作業場を巡視し、作業方法または衛生状態に有害のおそれがあるときに、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません。
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