有期労働契約(期間を定めて締結された労働契約)については、契約更新の繰り返しにより、一定期間雇用を継続したにもかかわらず、突然、契約更新をせずに、「期間満了をもって退職させる」等の、いわゆる「雇止め」をめぐるトラブル
平成16年1月1日に施行された改正労働基準法により、使用者が講ずべき措置について、厚生労働大臣が基準を定め、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」が策定された。
A. 契約締結時の明示事項等
a. 使用者は、有期契約労働者に対して、契約の締結時にその契約の更新の有無を明示
1. 自動的に更新
2. 更新する場合があり得る
3. 契約の更新はしない
b. 契約を更新する場合又はしない場合の判断基準を明示
1. 契約期間満了時の業務量により判断する
2. 労働者の勤務成績、態度により判断する
3. 労働者の能力により判断する
4. 会社の経営状況により判断する
5. 従事している業務の進捗状況により判断する
c. 有期労働契約の締結後に「更新の有無」、「更新有無の判断基準」について変更す
る場合には、労働者に対して、速やかにその内容を明示
d. その他の留意事項
B. 雇止めの予告
a. 契約締結時に、その契約を更新する旨明示していた有期労働契約(締結している労働者を1年以上継続して雇用している場合に限る)を更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告
b. 対象となる有期労働契約
1. 1年以下の契約期間の労働契約が更新又は反復更新され、最初に労働契約を締結してから継続して通算1年を超える場合
2. 1年を超える契約期間の労働契約を締結している場合
C. 雇止めの理由の明示
1. 前回の契約更新時に、本契約を更新しないことが合意されていたため
2. 契約締結当初から、更新回数の上限を設けており、本契約は当該上限にかかるものであるため
3. 担当していた業務が終了・中止したため
4. 業務縮小のため
5. 業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため
6. 職務命令に対する違反行為を行ったこと、無断欠勤をしたこと等勤務不良のため
D. 契約期間についての配慮
契約を1回以上更新し、1年以上継続して雇用している有期契約労働者との契約を更新しようとする場合は、契約の実態及びその労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない
E. 労働契約期間
a. 原則上限3年
b. 特例1:上限5年:高度の専門的知識等を有する労働者
1. 博士の学位を有する者
2. 修士の学位を有し、就こうとする業務に2年以上従事した経験を有する者
3. 公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、1級建築士、薬剤師、不動産鑑定士、弁理士、技術士、社会保険労務士、税理士、中小企業診断士
4. システムアナリスト試験、プロジェクトマネージャー試験、アプリケーションエンジニア試験、アクチュアリーに関する試験に合格した者
5. 年収575万円以上の技術者、デザイナー
c. 特例2:上限5年:満60歳以上の労働者
d. 特例3:一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約(有期の建設工事等)の、その期間中